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一葉の写真―若き勝負師の青春

今週の日曜日に「うつ病九段」という先崎九段の書いた本をもとにしたドラマが放送されるため、関連して先崎九段が若い頃に書いたエッセーを読んでみました。
『一葉の写真 若き勝負師の青春』
先崎九段は思ったことをそのままストレートに書いてくれるので(誰かにこびたりせず)、当時(1990年頃)の将棋界の様子がとても良くわかります。

「100年後の将棋」というタイトルのエッセーでは、10年後の21世紀の将棋界でも以下は変わらないだろうとのことが綴られています。
名人戦竜王戦NHK杯があること
棋士たちは矢倉を純文学として好み、振り飛車には居飛車穴熊左美濃
③麻雀をうち、仲間意識が強く、対局の昼食は千駄ヶ谷の「さと」で食べる
④女にはそれほどモテない
2020年の現在は、以下のように感じかな。
名人戦竜王戦NHK杯は今でももちろんありますね。
②矢倉は一時期かなり衰退しましたが、最近はまた復活してきたような。それでも純文学という意識ではないでしょうね。振り飛車には居飛車穴熊左美濃は今でも生きていると思います。
③麻雀を打つ棋士は多くいると思いますが、以前と比べると減っているのでしょうか。トップの豊島竜王、永瀬王座、渡辺名人が麻雀している感じはありませんね。また、対局の昼食は出前制に変わったこと。
④1990年当時と比べると、女性の好みも変わったのか藤井くん効果なのか、将棋界のイメージはとても明るくなってモテないということはないと思います。

後80年後の21世紀に新聞社が生き残っているとは考えにくいので、続いているとしたらタイトル戦のスポンサーはどこかで変わっていく必要がありますね。『ABEMA主催名人戦』や『Yahoo主催竜王戦』のようになったり。

また、当時のA級順位戦についても綴られていました。大山先生が67歳でバリバリA級で勝利しているのは驚愕です。1990年度と2020年度のA級の年齢を比べると、そこまで現代が若い世代が活躍しているという印象もないんですね。むしろ、2020年度には20代のA級が一人もいないという(翌期では斎藤8段や菅井8段が該当)。それだけ羽生世代とその近い世代の活躍が今も続いているということでしょうか。

 ・1990年度のA級順位戦
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・2020年度のA級順位戦
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