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業種から見るニューイヤー駅伝

ニューイヤー駅伝を見ていると日本には色んな会社があるんだなという風に思います。
そこで、過去から現在までどのような企業が陸上界をサポートしていたか知りたくなったので、1959年、1989年、2019年でのニューイヤー駅伝参加チームの業種を比較してみました。本当は第1回大会からのすべての大会を調べようと思ったが、労力がすごそうなので、この3年に絞りました。
まずは、1959年。

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今から62年前ですね。この年は14チームが参加しており、優勝はリッカーミシンでした。社名の通り、ミシンを作っていた会社ですが、現在は存在しない会社となります。業種分類では「鉄鋼」が21.4%を占めており1位となっています。八幡製鐵、富士製鉄、神戸製鋼が参加していました。産業の米と呼ばれる製造業に欠かすことができない鋼材を生産して戦後の日本の経済成長を支えていた企業なのでしょう。また、2021年(今年)も参加している東洋ベアリング(NTN)、大阪ガス、電電近畿(NTT西日本)、新三菱重工三菱重工)は1959年も参加していました。
次に30年進めて、1989年。

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1959年に1位だった「鉄鋼」は5位になって、「輸送用機器」と「電気機器」が1位となりました。輸送用機器と言うのは、自動車会社で、日産、マツダ本田技研浜松、本田技研埼玉、鈴木自動車が参加しています。トヨタ自動車はこの年は参加していなかったけど、これ以前に参加経験はあるので、1989年は予選落ちしたのかもしれません。また、電気機器からは、日本電気HE、京セラ、安川電機コニカ日本電気の5社が参加しています。日本電気HE、日本電気NECホームエレクトロニクスNECのことでNECグループから2社が出ています。1980年代は、まだマイクロソフトWindows前の時代でNECのPC9800シリーズが国内市場を席巻していたので、さぞ好調だったことと思います。その後、NECは2003年の4位を最後に陸上部を廃部としています。安川電機コニカコニカミノルタ)は2021年現在も参加しています。
さらに30年進めて2019年。

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さらに「輸送用機器」が伸びてシェアの24.3%となっています。1989年当時と比べると、トヨタトヨタ自動車九州、スバルが入ったのに加えて、愛三工業トヨタ紡織トヨタ系)、八千代工業(ホンダ系)、プレス工業などの自動車部品メーカーが参加しています。

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「電気機器」は前述の通りNECがいなくなって、富士通が新たに入っています。富士通は1991年から参加していて2000年、2009年、2021年に優勝しています(約10年周期?)。電気機器セクターは頑張ってほしいのですが、富士通自体も既に電気機器セクターと言えるかは微妙です。パソコン事業や携帯事業を売却したり分社化して、売上の内訳をハードからソフト(ソリューションビジネス)へ移行しているように、今後、中国などとの競争で厳しい事業環境となりそうです。
また、過去少なかった業種である陸運業が10.8%と増加しています。日立物流西鉄JR東日本、SGホールディングスグループが参加しています。

以上、業種別で振り返ってみました。企業としては、広告効果があるから陸上部を保有するわけですが、大きなコストにもなるので、不況下では陸上部の廃部なども度々聞かれます。ITセクターなどの新しい業態の会社も出てきてほしいのですが、それらの会社はよりコスト意識が強いイメージがあるので、なかなか難しいかもしれません。近年ではDeNA陸上部(部としては廃部)やGMOアスリーツができたし、今後、楽天サイバーエージェントなどが陸上・マラソン支援してくれないかな、などと期待しています。