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世界ランキングから見る陸上長距離種目のピーク年齢?

駅伝大会や陸上競技の大会で実業団一年目の選手が活躍すると「ルーキーながら素晴らしい走りです!」と言ったようなアナウンサーの実況を聞くことがあるが、陸上の長距離種目において肉体的なピークは何歳頃なのか気になったので、調べてみようと思います。大学を卒業して実業団一年目だと、だいたいは23歳となりますね。調べようと思ったのは純粋な興味からと、メディアがやたらと「ルーキー、ルーキー」と誇張して表現することに少なからず疑問を持ったため。いや、実は社会人数年目のベテランよりもルーキーのほうが強いってこと種目によってはあるんじゃないか?という疑問です。また、大学生が日本選手権で優勝したとしても、それは驚くべきことなのか、それとも平均的なことなのかによって捉え方も変わると思います。

【対象種目】
・男子
- 5000m
- 10000m
・女子
- 5000m
- 10000m

【調べるデータ】
各種目の世界ランキング歴代100傑の記録をマークした年齢
【データソース】https://genkimanman.com/index.html(元気満々さんサイト)

【調査結果】
◆男子5000m
平均年齢:23.63歳
最低年齢:16歳
最高年齢:36歳
中央年齢:21歳

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平均年齢の23歳は予想した年齢と大きくずれていなかったけど、中央年齢(最も人数の多い年齢)は21歳とさらに若かったです。前世界記録保持者のケネニサ・ベケレも5000mの世界記録は弱冠21歳で達成していました。ケニアの名選手、ダニエルコーメンやエリウド・キプチョゲも自己ベストは21歳時点でした。平均値を上げたのは36歳で12分53秒を出したアメリカのバーナード・ラガト。世界大会でもベテランとして活躍していました。トップ10だとゲブレセラシエの25歳が最も高齢でした。

◆男子10000m
平均年齢:23.11歳
最低年齢:18歳
最高年齢:34歳
中央年齢:22歳

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5000mと同じような結果となりました。平均年齢は少し下がり中央年齢は1歳上がりました。10000mの場合は、5000mに比べてスピードよりもスタミナが重要となるため、もっと年齢が上がるかと思いましたが、意外と若い年齢から10000mに取り組んでいることが分かります。最低年齢(18歳)には、日本でも活躍したサムエル・ワンジル(2005年に26分41秒)も入っていました。

◆女子5000m
平均年齢:24.76歳
最低年齢:17歳
最高年齢:39歳
中央年齢:22歳

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女子5000mは男子に比べて30代以降もランキング入りしていることが分かります。平均年齢も24.76歳と男子に比べて1歳程上がりました。女性の方が選手としてのキャリアが長いのでしょうか。ただ、年齢分布で見ると20代前半が多いことが分かります。

◆女子10000m
平均年齢:25.51歳
最低年齢:17歳
最高年齢:38歳
中央年齢:24歳

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女子10000mは5000mに比べてさらに平均年齢・中央年齢ともに上がりました。他の種目では見られなかったトップ10に32歳、31歳のチェルイヨット(ケニア)、ディババエチオピア)が入っています(いずれもリオ五輪で記録)。また先日、日本記録を大幅更新した日本の新谷選手も32歳で世界歴代22位と奮闘。女子選手の年齢が高くなる理由は結婚・出産で一時的に競技から離れる選手がいることも要因の一つかもしれません。

世界ランキングから平均年齢・中央年齢を調べていくと、21歳~25歳くらいが長距離種目アスリートにとってパフォーマンスを最大限引き出せる年齢層となっています。今年の日本選手権10000mで日本記録を更新した社会人1年目の相澤選手(旭化成)、伊藤選手(ホンダ)もルーキーと言うよりはアスリートとしてのピークがまさに今なのかもしれません。
今回は世界歴代から各種年齢を求めましたが、同じことを日本歴代からやってみて世界歴代の場合と比較してみるのも面白いかもしれません。